日本語能力試験N1によく出るN2レベル以下の文法（１）
日本語能力試験N1の文法問題といえば、
「そりゃ、出題されるのはN1レベルの
文法でしょ。」
と思われるかもしれませんが、決して
そんなことはありません。
N2レベル以下の文法でも、N1で出題
されることもあるのです。
主な理由は、以下の２点。
１．言語形式自体はN2レベル以下でも
意味・用法がN1レベルだから。
２．N2レベルで学習したものの、なか
なか習得できない文法項目だから。
典型的な問題を紹介しましょう。
１の問題の例として下の問題があげられ
ます。
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（電車の中で）
Ａ「いつもならこの時間帯は込んで
いるのに、今日は空いてるね。」
Ｂ「祝日だからね。」
Ａ「あ、そっか。どうりで空いてる
（ ）。」
１ こともある ２ に決まってる
３ に違いない ４ はずだ
－－－－－－－－－－－－－－－－－－－
正解は、４の「はずだ」ですね。
ですが、「はずだ」はすでにN2以下で
学習しています。
では、なぜこのような問題がN1で出題
されるのか。
それは、N2以下で学習する「はずだ」の
多くが、
例）田中さんは、まだ会社にいるはずです。
のような「話し手の判断」を表す用法
であって、
上記のような「納得」の用法はN1で学習
する文法項目だからです。
（もちろん、教科書によって多少の提出
順の誤差はありますが。）
というわけで、「話し手の判断」の用法は
知っていて、「納得」の用法を知らない
受験生は、
きっといの一番に選択肢４を候補から外す
だろう、
と、出題者は目論んで、こんな問題を出題
するわけですね。
（わざといやらしい言い方(笑)）
逆に、私たち教師も上記のような問題を
見たときに、
「『はずだ』は既習文型だから、学生も
問題なく正解できるだろう。」
と高をくくっていてはダメで、
N2レベル以下の意味用法を一度確認した
上で、
「おっ！この用法は、まだ習っていない
かもしれないゾ！」
となれば、新出文型として扱う必要が
あるというわけです。
いかがでしょうか。
こういう情報を知っているかどうかが
日能試N1対策指導をする上で、非常に
重要になってきます。
指導のレベルの決め手になるのです。
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