2誌合同。「日本語教育有識者会議」を読む(15)

引きつづき、

「日本語教育の質の維持向上の仕組みに
 ついて(報告)(素案) 」
 https://bit.ly/3hxTout

を2誌合同で解説。

2誌連番で解説いたしますので、片方しか
登録していない方は、両メルマガをご登録
なさるか、

下記サイトをご参照ください。

日々成長する教師
https://www.kanjifumi.jp/seicho/
(メルマガのバックナンバーが読めます)

また、かなり膨大な資料ですので、かいつま
んだ解説となることを予めお伝えしておきま
す。

詳しくは、上記資料をご参照ください。

第15回は、

「3.日本語教師の国家資格に関すること」

です。

そのうち、今回は

「(4)日本語教員の登録に関する経過措置」

を扱います。

既に有資格者として現場に立たれている先生方
にとっては、非常に気になるところだと思いま
す。

以下、読んでいきましょう。

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(4)日本語教員の登録に関する経過措置

○ 令和3年協力者会議報告において、公
 認日本語教師の資格は、日本語教師の資
 格制度を整えることにより、

 優れた日本語教師を養成・確保して、我
 が国の日本語教育の質を向上させること
 を目的に創設されることを踏まえ、

 「日本語教育機関の告示基準」第1条第
 1項第 13 号 の教員要件を満たす現職日
 本語教師等が公認日本語教師の資格取得
 を希望する場合、

 原則として筆記試験合格及び教育実習履修
 ・修了の要件を満たした上で資格を取得す
 ることとするとされた。

○ 日本語教師の資格取得から登録に当たっ
 ては、これまでの日本語教師の養成の教育
 内容、

 既存の民間試験の出題範囲や受験者及び合
 格者の状況、現職日本語教師の実務経験年
 数等の状況、

 養成、日本語教師の勤務形態に加え、コロ
 ナ禍における2年半にわたる留学生の入国
 制限の中で

 日本語教師の確保が困難な状況となってい
 る現状・経緯などを踏まえた検討を行う。

 制度開始時の日本語教師の質的・量的な確
 保に配慮しつつ、

 一定の要件を満たす現職日本語教師等につ
 いて、円滑に登録日本語教員としての登録
 を受けられるよう、

 また、日本語教師の学び直しの観点もあわ
 せて、筆記試験や教育実習の免除を含めた
 経過措置を設ける。

○ 具体的には、次のいずれかの要件を満た
 す場合には、登録に当たっての経過措置期
 間は、それぞれに示す通り筆記試験や教育
 実習を免除することを検討する。

(指定日本語教師養成機関と同等の教育課程
 を修了した者の経過措置)

・ 日本語教師の養成において求められる資
 質・能力を身に付けるため、

 平成 12 年「日本語教育のための教員養成
 について」(文化庁日本語教員の養成に関す
 る調査研究協力者会議)(以下「平成 12
 年報告」という。)、

 及び平成 31 年文化審議会報告において示
 された「必須の教育内容」50 項目を踏まえ
 たカリキュラムの見直しなどに取り組む大
 学等養成機関の実態を踏まえた経過措置の
 在り方について検討する。

・ これまでの日本語教師養成の実績などを
 前提に、

 制度開始前に、指定日本語教師養成機関に
 求められる教育内容等と同等のものを履修
 した者、

 又は在籍中の者について、大学等養成機関
 における科目が3領域・5区分・15 下位
 区分のうち、

 「必須の教育内容」50 項目を含み必要な科
 目の履修及び修了が認められた者は、

 筆記試験の一部の免除が可能となるような
 措置を検討する。

・ 質が担保された日本語教育機関で勤務す
 る一定の実務経験を有する現職日本語教師
 のうち、

 前述の「必須の教育内容」50 項目との適
 合性を有する大学等日本語教師養成機関を
 修了した者については、

 筆記試験の一部免除、教育実習の免除が可
 能となるような措置とともに、

 平成 12 年報告及び 31 年報告以降に新た
 に加えられた教育内容や、

 近年の状況変化を踏まえ習得が必要と考え
 られる講習を受け修了することで、

 筆記試験の全部又は一部免除などの在り方
 を検討する。(資料2:Cルート)

(質が担保された機関の現職日本語教師に対
 する経過措置)

・ 経過措置期間中において、現職日本語教
 師の要件を満たし、

 かつ、法務省告示校などの一定の質が担保
 された機関に一定期間以上勤務している者
 は、

 実務的な経験を有することから教育実習は
 免除されることを検討する。

 質が担保された機関で勤務する現職日本語
 教師について、法務省告示校のほか、

 大学留学生センターや大学の留学生別科、
 学部での指導に当たる日本語教師、企業等
 で指導経験が豊富な日本語教師なども含め
 て十分な経験を有する者の要件などを検討
 する。

 現職日本語教師については、海外での活動
 勤務や、

 育児・介護などの理由で現職日本語教師と
 して一定期間活動していない者についての
 配慮を検討する。(資料2:Dルート)

(現職日本語教師のうち必須の教育内容との
 適合性を有する試験合格者に対する経過措
 置)

・ 日本語教育能力に関する民間試験のうち、
 その筆記試験の出題範囲と、

 平成 12 年報告及び平成 31 年文化審議会
 国語分科会報告で示された基礎的な知識及
 び技能としての「必須の教育内容」との適
 合性や、

 当該民間試験実施からの経過期間等を勘案
 し、当該試験の合格をもって新たな試験で
 確認する基礎的な知識及び技能と同等の能
 力を身に付けていると判断され、

 質が担保された日本語教育機関で勤務する
 現職日本語教師については、

 平成 12 年報告及び 31 年報告以降に新た
 に加えられた教育内容や、

 近年の状況変化を踏まえ習得が必要と考え
 られる講習を受け修了することで、

 筆記試験の全部又は一部免除を検討する。

・ その場合、有識者により、当該民間試験
 と、平成 12 年及び平成 31 年で提示され
 た3領域5区分の教育内容を踏まえた分析
 ・評価を行うとともに、

 それらを踏まえた講習の範囲や修了方法な
 どの検討を行う。

・ 講習については、例えば、従来はなかっ
 た「著作権」「日本語教育と ICT」「日本
 語教師の資質・能力」などの教育内容や、

 近年の状況変化を踏まえて最新の動向の把
 握が求められる「在留外国人施策」「日本
 語教育プログラムの理解と実践」「コース
 デザイン」「教材分析・作成・開発」「評
 価法」「目的・対象別日本語教育法」など
 の内容等については

 一定の講習を受講することなども検討する。
 (資料2:E、Fルート)

・ 講習の内容や、一部オンライン等も含め
 た方法等については、平成 12 年及び平成
 31 年に文化審議会で提示された教育内容
 を踏まえ、今後、更に検討を行う。
--------------------

まずもって気になるのが以下の部分です。

「コロナ禍における2年半にわたる留学生の
 入国制限の中で

 日本語教師の確保が困難な状況となってい
 る現状・経緯などを踏まえた検討を行う。」

実際、コロナ禍で離職した日本語教師は非常に
多く、

入国制限が緩和され、日本語学校に留学生が
戻ってきても、

日本語教師の方はそれほど戻っていないと
いう現実があります。

さらに、昨年の日本語教育能力検定試験の
受験者は令和元年をピークにどんどん減少して
います。

日本語教育能力検定試験 応募者・全科目受験
者・合格者数 推移
http://www.jees.or.jp/jltct/pdf/R4obosya.pdf

さらに、私も最近分かってきたことなの
ですが、

時給2,000円、さまざまなサービス残業を
強いられる日本語学校勤務より、

オンラインプラットフォームに登録して、
オンラインのレッスンをした方が、

時給も3,000円以上可能ですし、サービス残業
もなく、自由にレッスン時間・内容を組める、

しかも個人相手なので授業負担もかなり低い
ので、

オンラインレッスンの方に流れる日本語教師
が今後どんどん増えていくのではないかと
思います。

そうなると、いくら制度整備をしても、
日本語学校は十分な日本語教師を確保できな
い。

この流れを変えるには、国や日本語学校が
現状よりもはるかに高い待遇を用意しなければ
ならないのではないかと思います。

少なくとも、日本語学校は時給5,000円ぐらい
まであげなければ、日本語教師の確保は難しく
なるでしょう。

それから、さらに気になるところは以下です。

「「必須の教育内容」50 項目を含み必要な科
 目の履修及び修了が認められた者は、

 筆記試験の一部の免除が可能となるような
 措置を検討する。」

この辺りが、皆さんも関心の強いところだと
思います。

日本語教育能力検定試験は昨年から出題範囲
が「必須の教育内容」に変更されました。

この部分は、登録日本語教師制度後も引き継
がれると思われます。

となれば、令和4年以降の検定試験に合格し
た教師においては、

新制度での筆記試験は全部免除にするべきだ
と、私は思います。

もし、一部免除にするのであれば、

「令和4年以降の検定試験の出題内容で
 不足分な何なのか。」

を明確に出さなければなりません。

そうすると、また出題範囲の再検討という
非常に厄介なことになりかねないからです。

最後に注目したいのは、以下の部分です。

「・ 講習については、例えば、従来はなかっ
 た「著作権」「日本語教育と ICT」「日本
 語教師の資質・能力」などの教育内容や、

 近年の状況変化を踏まえて最新の動向の把
 握が求められる「在留外国人施策」「日本
 語教育プログラムの理解と実践」「コース
 デザイン」「教材分析・作成・開発」「評
 価法」「目的・対象別日本語教育法」など
 の内容等については

 一定の講習を受講することなども検討する。」

篠研の日本語教育能力検定試験対策では、
すでに上記項目もしっかり含んでいますので、
安心して受講してくださいと(^_^)

というわけで、本シリーズはひとまずここで
筆を置くこととします。

報告書には、今回扱わなかった内容や、
さまざまな概念図なども掲載されていますので、
ぜひご覧になり、理解を深めてください。


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