学習者の誤用を概念レベルまで抽象化すると指導に幅が生まれる。

たまたま振ったお題が、たまたま学習者の
誤用を引き出し、

それがいい感じで学びにつながりました。

特に中級以降の授業では、こうしたいわゆる
「偶発的学習」がとても大事だと私は考えて
います。

なぜなら、「偶発」とはいえ、学ぶ必然性が
学習者にとってとても分かりやすい形で実感
できる。

ふとしたところで日本語の使い方を間違った。
だから正しい言い方を学んだ。

分かりやすいですよね。

しかも、テキストに添った意図的学習よりも
往々にしてリアルで臨場感がある。

そういう意味では、特に中級以降になると、
テキストに沿った意図的学習も大事ではある
のですが、

ちょいちょい話を脱線させ、無駄話的なところ
から、偶発的学習にもっていくことも、
学びのあり方としてはとても意味があるんですね。

ところで、

「筆」の２つの読み方を、

「あらら、読み間違ったねぇ。」

で終わったら、この話はこれで終わり
ですが、

これを、

「同一形態素の異形態に関わる問題」

という語彙論の概念レベルにまで昇華し、

「他にも同じような問題が起きる語彙は
あるかな。」

と考えると、どうでしょう。

例えば、中級レベルの語彙でいえば、

形態素「雨（あめ）」に対する

「あめ：例）長雨」、
「あま：例）雨宿り」、
「さめ：例）春雨」

形態素「酒（さけ）」に対する

「さけ：例）酒臭い」
「ざけ：例）地酒」
「さか：例）酒屋」

など、いくらでも出てきます。

となれば

「じゃあ、筆のついでにこれらも
読めるか学習者に振ってみようかな。」

となるわけで、指導の幅が一気に広がる
んですね。

学習者の誤用をいったん概念レベルまで
抽象化し、

そこから、再び具体的なところに落とし
ながら水平展開することが、

指導の幅を広げるうえでいかに有効か
ご理解いただけました？

しかし、これができるためには、語彙論で
いうところの、

「同一形態素の異形態」

という概念を知っていないとできません。

「同一形態素の異形態」

という概念を知らなければ、そもそも
抽象化という発想自体が起こりえない。

だから、教師力とか指導の幅を広げよう
とかと思うのであれば、

まずは、言語学・日本語学に関するさま
ざまな抽象的概念を知る必要があるのです。

「とはいえ、忙しいし、金もないし、
どうしたらいいのかわからない。」

という方。

今月の通信講座「篠研の検定対策」の
４・５月のラインナップは、

４月

2(月) No.001　オリエンテーション
4(水) No.002　言語の類型
6(金) No.003　言語の系統概説
9(月) No.004　世界の諸言語(1)
11(水) No.005　世界の諸言語(2)
13(金) No.006　ﾁｪｯｸﾃｽﾄ「ｷｰﾜｰﾄﾞ30」1
16(月) No.007　一般言語学
18(水) No.008　日英対照言語学
20(金) No.009　日中・日韓対照言語学
23(月) No.010　理論言語学・応用言語学
25(水) No.011　日本語の構造
27(金) No.012　ﾁｪｯｸﾃｽﾄ「ｷｰﾜｰﾄﾞ30」２
30(月) No.013　品詞概論

５月

2(水) No.014　日本語の音声
4(金) No.015　日本語の子音とその周辺
7(月) No.016　日本語のプロソディ
9(水) No.017　日本語の音声の諸現象
11(金) No.018　ﾁｪｯｸﾃｽﾄ「ｷｰﾜｰﾄﾞ30」3
14(月) No.019　形態論概説
16(水) No.020　語彙論概説
18(金) No.021　助詞各論
21(月) No.022　動詞・形容詞各論
23(水) No.023　テンス
25(金) No.024　ﾁｪｯｸﾃｽﾄ「ｷｰﾜｰﾄﾞ30」４
28(月) No.025 アスペクト
30(水) No.026　ヴォイス

言語学・日本語学の抽象概念が目白押し。

しかもほとんどが検定試験再頻出の
【基礎項目】。

しかも、初回月500円です。

初回月で退会していただいて全然構いません。

試しに１か月だけやってみてはいかがでしょうか。

【通信講座「篠研の日本語教育能力検定試験対策」】
　http://www.kanjifumi.jp/become/distancelearning/