なぜ指導書通りに授業をしても初級文型指導がうまくいかないのか。

去る3月18日、おおいた国際交流プラザ主催の
日本語ボランティアスキルアップ講座では

「日本語教室(経験者)編」外国人に日本語を教える
方法-明日から使えるプロの技-

と題しまして、3時間のワークショップを
させていただきました。

 

冒頭、直接法による外国語学習を疑似体験する

「Kukoshi語」

を体験していただきました。

 

いや~、すごい盛り上がりました。

しまいには、会場全体が拍手喝采(^_^)

 

ただ、この活動にはそれ以上に大きな意義が
あります。

 

というのも、

初級の指導(に限りませんが)で最も大事で
あるにもかかわらず、

不思議なことに、

多くの悩める日本語教師の方々に決定的に
欠けている視点を提供しているからです。

 

それは、

「徹底的に学習者の立場に立って考える。」

という視点です。

 

この視点がなければ、いくら指導書や手引きを
見ても、

「そもそも、なぜここで教師はこのフレーズを
いわなければならないのか。」

「なぜ、教師はこのタイミングでこの絵カード
を見せなければならないのか。」

「なぜ、教師のこのフレーズが学習者からこの
フレーズをスムーズに引き出すことができ
るのか。」

という基本的なことが理解できませんし、

 

さらに進んで、本来考えるべき、

「であれば、私のクラスの学習者に理解しや
すい授業をするためには、この部分をこう
アレンジする必要があるなぁ。」

という発想が出てこないからです。

 

そういう視点なしに、ただただ指導書や
手引き書通りに授業をしたところで、

指導書が想定している学習者と、実際目の前
にいる学習者の間には必ずずれがあるわけで
すから、

うまくいかないことが起こるのはむしろ当然。

 

逆に、

「徹底的に学習者の立場に立って考える。」

という視点に徹して授業を組み立てれば、

指導書や手引書ほど授業準備に役立つものは
ありません。

 

いろいろな授業アイデアを提供してくれますし、
何より、授業準備の負担を格段に軽くしてくれ
ますから。

 

そうすると、次に問題になってくるのが

「より的確・適切に学習者の立場に立って考える
には、どうしたらいいか。」

ということ。

 

基本的には自分の頭の中で想像するしかないわけ
ですが、

その結果、とんちんかんな結論ばかり出して
いては、まったく無意味。

 

しかしながら、これがなかなか難しい。

 

考えに考えた結果、とんちんかんな結論を出して
しまったということも、決して珍しくないのです。

 

そりゃ、そうです。

そもそも私たちは直接法で外国語を学ぶという
経験をほとんどしていないわけですから。

 

では、どうするか。

 

これはもう、

「実際に学習者が経験することを疑似的でも
いいので、同じように経験してみる。」

という以外にありません。

 

学習者と同じ体験をすることで初めて、

「学習者が普段、どのような言語的に
不自由な環境に身を置いているか。」

「学習者が日本語で日本語を学んでいる
時に、何を考え、何を感じ、授業に
臨んでいるか。」

ということを、より深い体験知として理解する
ことができるのです。

 

表面的な指導ノウハウよりも、まずはその部分で
深い理解を得るということが、

とりわけ日本語力も日本語学習力も高くない初級の
学習者に教育する際には大切なんですね。

 

講演会にご参加いただいた皆様、ご理解いただけ
ましたでしょうか。

 

改めて、後援会の内容を反芻してくださいね。


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