従属節中の主語なのに、なぜ「は」が使える?(その2)

前回の続き。

 

「は」と「が」の使い分けのうち、

「文と節の原理-文末までかかるときは「は」、
節の中は「が」」

が、今回のテーマ。

 

繰り返しになりますが、大事なので再掲しますと、

「文末までかかるときは『は』」とは、

複文(=1つの文の中に、主語-述語のペアが複数
ある文)の中の主節の主語は「は」で示すという
ことを、

「節の中は『は』」とは、従属節の主語は『が』
で示すということを意味します。

 

主節とは、文の中で文全体にかかる主語-述語の
ペアを含む部分で、

従属節とは、文の中の一部分にかかる主語-述語
のペアを含む部分。

 

例えば、下の例文でいうと、

例)彼女が作ったケーキは、おいしかった。
 ̄       ̄

このうち、「彼女が作った」の部分が従属節で
「ケーキはおいしかった」の部分が主節なわけです。

 

しかしながら、下の文では従属節中であるにも
関わらず、主語の「ラーメン」が「は」で示され
ている。

例)ラーメンはおいしいこの店で、いつも昼ご飯を食べる。

これは、どう説明したらいいのでしょうか。

 

実は、前回ちょっとだけヒントを出しています。

 

このくだり。

「この時、「ラーメンが~」ということもできますが、
「ラーメンは~」といっても間違いではありません。
(若干、「この店」に対して失礼ですが(笑))」

 

なぜ、「この店」に対して失礼になるのか。

 

なぜなら、この文は

「●●(例:餃子)はまずいが」

とか、

「ラーメン以外はまずいが」

といった含みを持たせた文だからです。

 

つまり、

例)(餃子はまずいが)ラーメンはうまいこの店で、
いつも昼ご飯を食べる。

のカッコ内の文が省略されている文なんですね。

 

「~は~が、~は~。」

 

つまり、この従属節の「は」は、対比の用法である
ために「は」が使われているというわけなんです。

 

前回、「は」と「が」の使い分けの5つのルール
をご紹介しましたが、

これらのルールの適用には、実は優先順位があって、

今回のように、対比の用法と従属節中の用法がバッ
ティングした場合、対比の用法が優先され、

そのため、従属節中の主語であるにもかかわらず
「は」が使われるというわけなのです。

 

なかなか奥が深いですね(^_^)


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