完璧な教師vs試行錯誤のクラスメート、学習効果を高めるのは?

学習者の社会的援助として「モデリング」
というのがあります。

 

「モデリングとは、特定の社会的行動を
示す実演モデルやフィルムを見せること」

(篠研通信講座講義資料
「No.085 社会的技能・技術(スキル)より。)

 

例えば、日本語力がなかなか伸びない学習者に、
すでにその問題を解決したロールモデルを見せると、

その学習者は、

「なるほど!そうすればいいのか!」

と思って模倣する。

結果、当初の問題を乗り越えるというわけです。

 

これは、私たちも経験的に知っているところ
だと思います。

 

そこで問題になるのが、

「どのようなモデルを見せれば、より効果的か。」

ということ。

 

日本語に熟達した教師を見せるのと、

試行錯誤をしながら乗り越えようとして
いる友だちを見せるのと、

どちらが学習成果が上がるか。

 

これについて、以前参加した

第28回第二言語習得研究会全国大会
http://jasla.sakura.ne.jp/2.html

での佐藤礼子氏(東京工業大学)のご発表
にこのような指摘がありました。

=========================

Zimmerman and Kitsantas(2002)はモデリングにおいて、
熟達者の様子を観察するより、困難を乗り越えながら努
力する姿(コーピング・モデル)を観察するほうがよい
学習成果を得られることを示している。仲間とともに学
習することの役割は、試行錯誤を含んだ学習プロセスを
対話によって言語化することで、学習プロセスを意識化
することである。
(予稿集p.19)

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確かに、熟達者によって完璧なモデルを示されても、

「すごい!」

とは思っても、

「私もできそう!」

とは、なかなか思えないかもしれません。

 

むしろ、

「先生/あの人だからできるんだ。
私には無理。」

とあきらめモードになってしまうかもしれませんね。
成長のプロセスが見えないわけですから。

 

少なくとも、共感度0(苦笑)

 

一方、自分と同じように試行錯誤しながら上達
しているクラスメートを見ると、学習プロセスが
見える分、

「私も同じような失敗をしたけど、なるほど
こうやって乗り越えればいいんだ!」

と思えるでしょうし、

「なんだ、彼も最初は私と同じレベルだったのか。」

と共感することも多いでしょう。

 

そう考えると、クラスメートの方が学習成果が高まる
のも理解できます。

 

ピア・ラーニングや協働学習といった学習法が高く
評価されるのも、

こうした「学習者同士の学びあい」効果があるから
なのだと思います。

 

ちなみに、本メルマガが目指しているのも、

地方で七転八倒しながら何とか日本語教育で飯を
食っている

私のリアルな姿を日々お伝えすることによって、

普通の人間が日本語教師としてやっていけるんだ
ということと、

そのための生々しい方法をご提供すると同時に、

「なんだ、あんな奴でも日本語教師で生きていけて
いるんなら、俺だったらもっとうまくやっていける
はず。」

と、読者の皆様に思って頂くことにあります。

その意味で、私篠崎は、人間としても日本語教師としても

不完全
成長途上
試行錯誤
紆余曲折
暗中模索
五里霧中

な存在であるがゆえに、読者の皆様にとって

「最高のロールモデル」

ではないか、と自負している次第(笑)


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