お辞儀も深ぼれば、立派な文化学習。

日本のマナーの代表格と言えば、
お辞儀。

言葉と頭を下げる動作を同時に
する方がいますが、
(私も人の事は言えませんが。)

本来は挨拶を言った後で頭を下げる
のが正しいやり方です。

ところで、このお辞儀の動作に、
外国人の中には

「なぜ日本人はいつもペコペコ頭を
下げるんだろう。」

と、不思議がる方がいます。

確かに、電話をしている時でさえ頭を
下げているような光景を見ると、

そう思われても仕方がないかもしれま
せんね(笑)。

では、日本のお辞儀は世界的に特異な
のかというと、決してそんなことはあ
りません。

むしろ、数ある挨拶行動の1つと捉え
る方が適当ですし、

世界には実にさまざまな挨拶行動があり
ます。

例えば、

「よ・み・き・か・せ」
https://bit.ly/3oh34a2

の「世界の挨拶の秘密」によると、

チベットでは、挨拶をするとき舌を
ペロッと出すと書かれています。

その理由は、以下の通り。

=================

チベットには古くからの言い伝えで、
悪魔には角があり、舌が黒いと言われ
ています。

なので、自分が悪魔でない証明として、
帽子をとって角がないこと、

そして、舌を出して舌が黒くないこと
を相手に見せるようになったと言われ
ています。

=================

なるほど!

日本人には滑稽に見える行動も、
現地では人間関係を円滑にする
重要なマナー行動。

しかも、そうした行動にも長い歴史
の中で受け継がれた理由というもの
があるんですね。

このように、挨拶行動をただ表面的
に見るのではなく、

その根拠にまで深ぼることで、楽し
く異文化理解が深まるのではないかと
思います。

これはもちろん日本のお辞儀も同じこ
と。

「お辞儀」の語源を調べてみると、
以下のように書かれています。

語源由来辞典
https://bit.ly/3oi3Q6B

=================

お辞儀の語源は、物事を行うのにちょ
うどよい時期を意味する「時宜(じぎ)」
で、「辞儀」の表記は江戸時代からで
ある。

平安時代には本来の意味で使われてい
たが、鎌倉・室町時代には様々な意味
で使われるようになった。

「ちょうどよい時間・頃合」の意味か
ら、「時間」の意味が希薄になり、お
辞儀は「物事が成立するのにちょうど
良い状況・事態」の意味となった。

さらに、「状況に対する考えや気持ち」
「状況を見極めて対処すること」を意
味するようになり、考えや気持ちなど
を表す用法から、積極的に物事に関わ
る意向の意味が派生し、この意向が他
人への配慮や心配になり、中世末期に
は挨拶の意味になった。

挨拶に伴い頭を下げる動作の意味に限
定されるのは、江戸時代後期からであ
る。

=================

なるほど。

「物事が成立するのにちょうど良い
状況・事態」

がお辞儀のルーツというのは、相手
をリスペクトした姿勢が感じられて
好感が持てますね。

この他、握手との比較については、

「日本文化いろは事典」
https://bit.ly/3omcyBb

の「お辞儀と握手」の項目に、いずれ
も「敵意がないことを示す」として以
下のように書かれています。

=================

お辞儀は自分の首を差し出して、相手
に対して敵意がないことを表現したこ
とに由来するといわれます。(中略)

握手の由来は諸説ありますが、手に武
器を持っていないことを証明すること
から始まったと広くいわれます。

=================

つまり、表現形式こそ違うものの、
その意図は共通しているわけですね。

このように見てみると、挨拶行動の
根底にあるのは、相手に対する敬意
であることが分かります。

とはいえ、黙っていても伝わらない
わけですから、それを何らかの形で
伝える。

それが、文化によっては舌を出す動
作であったり、

お辞儀であったり、握手であったり
するわけですね。

であれば、学習者に対しても、

「あなたの国では、どうしてそうい
うジェスチャーをするの?」

とか、

「どうして日本の挨拶では頭を下げる
と思う?」

と考えさせれば、いい文化学習になる
のではないかと思います。


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