『日本語教師の資格及び日本語教育機関の水準の  維持向上を図るための仕組みの在り方について  (報告概要案)』を読む(その3)

シリーズでお送りしております、

「資料3
日本語教師の資格及び日本語教育機関の
水準の維持向上を図るための仕組みの在り
方について(報告概要案)」

出典はこちらのサイトです。

第6回日本語教師の資格に関する調査研究協力者
会議
https://bit.ly/3vbQM6m

第3回の今日は、

「○日本語教師の資格について」

の中から

3.試験の一部免除及び教育実習の免除
4.指定試験実施機関及び指定登録機関に
求められる役割
5.更新講習

を読みます。

では、早速行きましょう。

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3.試験の一部免除及び教育実習の免除

前述のとおり公認日本語教師を目指す者は
原則として試験の受験及び合格並びに教育
実習を履修・修了することが必要だが、

文部科学大臣は、文部科学大臣が指定する
機関における課程等を履修し修了した者
(以下、課程修了者という。)については

筆記試験1及び教育実習を免除することが
できるものとする。

試験の一部免除及び教育実習の免除は、必
要な知識又は技能を有していると確認でき
る者に対して改めて試験等を行う必要性が
乏しく、

課程修了者のみならず試験実施機関の負担
も軽減することができることや、受験者の
負担を軽減し、

試験を受けやすくすることで、資格取得の
際の門戸を広げ、日本語教師の量の確保に
も資するものである。

また、他の名称独占国家資格においても試
験の一部免除に関する前例が存在している。

さらに、一定の要件を満たす機関を文部科
学省が指定することを通じ、

今まで教育内容が機関によって様々であっ
た大学等における日本語教師養成課程の質
の確保が可能となり、

本課程を修了した日本語教師の質の維持・
向上を図ることにもつながる。

表3 試験の一部免除及び教育実習の免除
の対象者について

https://bit.ly/2TVKavU

なお、制度の詳細について検討する際、大
学の日本語教育に関する教育課程でも、

主専攻とその他では学ぶ事柄の量が異なり、
内容も必ずしも一律ではないことに留意す
る必要があるほか、

既に当該課程を修了している者が修了後相
当程度経過した後に試験を受験する際の取
扱い等についても今後検討する必要がある。

4.指定試験実施機関及び指定登録機関に
求められる役割

試験を実施する指定試験実施機関及び文部
科学大臣が指定し公認日本語教師の登録を
行う法人(以下「指定登録機関」という。)
に求められる役割は、

類似の他の法律等も参照し、以下の表4の
とおりとする。(表4省略)

5.更新講習

「日本語教師の資格の在り方について(報
告)」(令和2年3月 10 日文化審議会国
語分科会)では、

公認日本語教師の資質・能力の維持・向上
のため、一定時間以上の更新講習の受講・
修了を求めることとされていた。

しかし、更新講習を制度化せずとも、公認
日本語教師が必要とするタイミングで、最
新の知識を身に付けることができる研修の
充実によって、

質の高い日本語教育の提供が可能となるこ
とや、

仮に、更新講習を制度化し、講習の受講対
象者が現職の日本語教師でない場合、

更新講習の対象者や有効期限の捕捉が難し
いことなどから、

公認日本語教師に対し、更新講習の受講は
求めず、

文化庁として、予算事業等を通じて研修環
境の充実・強化に努めることが適当である。

あわせて、公認日本語教師が必要なタイミ
ングで適切な研修の機会が得らえるよう、

日本語教師を採用している機関に促してい
くことも必要である。

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今回の内容で、特に重要なのは、

「3.試験の一部免除及び教育実習の免除」

だと、私は考えています。

本報告書では、大学の主専攻や副専攻の学生や
420時間課程を修了した方は、

筆記試験1と実習を免除することになるので、
試験負担が少なく、広く門戸を開くことになる
と書かれていますが、

私はここに正直大いに疑問を感じます。

なぜなら、そもそも大学の主専攻、副専攻の学生
が日本語教師として就職することはかなり稀で、

ほとんどは一般企業や公務員に流れているからで
す。

理由は簡単で、日本語学校の待遇が一般企業に
比べて極端に悪いからです。

通常、実務経験のない新卒者が、いきなり専任
として日本語学校に就職することは少なく、

最初は、非常勤として週に2コマ~3コマで
授業をし、

実力が認められ、かつポストが空いたときに、
初めて専任への道が開かれます。

仮に非常勤時の時給が2,000円だとすると、週3
の授業で月額24,000円。

つまり、初任給が24,000円、同期との給与格差
が10倍も違うわけです。

これでは、日本語教師を選ぶわけがありません。

たとえ試験制度が少し変わったところで、待遇
面での改善が図られなければ、状況は1mmも変わ
らないのです。

(もとより、お金の話になると急にもごもごし
てしまうのが、悲しいかな、この業界。)

そもそも、今までは主専攻・副専攻だけで
有資格者だったわけで、

新制度では新たに筆記試験2がプラスされる
わけですから、実質ハードルが上がった形に
なります。

また、420時間課程修了者についても、

これまでは課程修了だけで有資格者として教壇
に立つことができましたが、

今後は、加えて筆記試験2に合格しなければ
なりません。

これまで、50万円、60万円かけてようやく取得
した420時間課程修了に加え、

今後は、さらに試験対策に相応のコストを払う
必要性が出てくるでしょう。

もちろん、自力で筆記試験1・2合格+実習で
公認日本語教師の資格を取るという方法もあり
ます。

ただ、その際には、ご自身の行動範囲内に実習
をさせてくれる機関があるかどうかを調べてお
く必要があります。

都市部はともかく、地方だと地域によっては
そういう場所がないということも考えられる
からです。

それでも日本語教師を目指してくださる方が
どれだけいるか。

このように考えると、

新制度に移行したからといって、それだけで
質量ともに満足な日本語教師を確保するという
のは、

なかなか難しいのではないかと考えています。

皆様は、どのように考えますでしょうか。


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