失敗しない授業より、失敗をリカバーする授業を。

ここ最近、

澤田幸子先生(『みんなの日本語』執筆協力者)
亀田美保先生(『中級から学ぶ日本語』著者)
仲山淳子先生(『日本語文法ブラッシュアップ
    トレーニング』著者)

の模範授業に立ち会わせていただいています。

その時に初めて会った学習者を相手に、

しかも、後日セミナーでその授業が公開
されるわけですから、

企画した私が言うのもなんですが、
相当なプレッシャーだと思います。

にもかかわらず、どの授業も学習項目を
しっかり押さえているのはもちろんのこと、
見ていてとても楽しい授業。

何より、先生自体がとても楽しんでいる。

特に、先日の仲山先生の授業に至っては、
ちょっと話が脱線するたびに思わぬ発見
があり、

その度に仲山先生の笑顔が光っていました。

で、諸先生方の授業を見せていただいて
気がついたこと、

諸先生方の授業に共通し、かつ、
経験の浅い教師にはなかなか見られない
ことに気がつきました。

それは、

「失敗を恐れない。」

ということです。

もっと解像度の高い表現をすると、

「学習者が想定外の反応をして授業の
 流れが一瞬止まっても、

 それを文化や個人の違いと肯定的に
 とらえ、

 臨機応変、授業に支障がないよう、
 うまくリカバーしている。」

ということです。

実は、これが経験の浅い日本語教師には
なかなかできないんですね。

経験の浅い日本語教師は、失敗を恐れる
あまり、

ガッチガチな教案を作って、
ガッチガチな授業をして、

学習者が措定外の反応をすると、

「なんでそうなるのっ!」

とテンパってしまう。
(往年のコント55号みたいな(笑))

ひどい場合には、それでひどく落ち込む。

分からないでもありません。
私も駆け出しの頃そうでしたから。

ただ、考えてみれば、学習者がこちらの
想定通りの反応をすると考えること自体、
(言葉を選ばずに言えば)傲慢なことで、

教師は教師で考えている一方で、

学習者は学習者でまた別のことを考えて
いるわけで、

それが当たり前という認識を持つことが
相互尊重、相互理解のベースだろうと
思います。

実際、上記諸先生方は、当たり前ですが
ガッチガチな授業をしていたわけではなく、

指導項目や授業の流れを押さえつつも、

ある程度遊びの部分を残し、

授業の流れや学習者の反応に応じて、
その遊びの部分でうまく調整していまし
た。

結果、学習者の思わぬ反応によって
一瞬授業が止まっても、

トータルで見れば、さほど違和感もなく、

学習者も特も特にどうということもなく、

楽しくて学びの多い、生き生きとした授業
となったのです。

やはり、臨機応変、当意即妙はいい授業の
必須要素ですね。

 
とはいえ、

経験の浅い日本語教師に、

「ハイ、今日から緩く臨機応変な授業を
 しましょう。」

というのも酷な話。

それはそれで、グダグダな授業、頓挫
して修復不可能な授業に陥ってしまう
リスクがあるからです。

実際、臨機応変に対応するというのは
なかなか難しい部分もあり、

上記諸先生方も長年の経験を通じて
体得されたはずです。

ですが、そう言ってしまうと身も蓋も
ないので、

学習者が教師の想定外の反応をした
時にうまくリカバーする、簡単な
テクニックを紹介します。

それは、学習者が想定外の反応をした時、

「えっ!そうなんですか?」
「えっ!どうしてですか?」
「えっ!どういうことですか?」

と質問する。

そして、学習者の反応をしばらく待ち、

学習者が何か言ってきたら、とりあえず

「なるほど!」

と言う。

そして、「なるほど」と言っている間に
次の言葉を考える。

そうすると、

授業の流れをうまくリカバーできる
ばかりか、

学習者が勘違いしているポイントや
自分と学習者の認識の違いがはっきりし、

より理解を促す補足説明ができたり、
文化や考え方の違いを楽しめたり
することができるのです。

お試しくださいね(^_^)

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